東南アジア最大級のECプラットフォームを運営するShopee Japanが、通販通信ECMO主催のウェビナー「2026年 越境ECの『健全化と発展』」に登壇することが発表されました。急成長を遂げてきた越境EC市場が、いよいよ品質と信頼性を重視する成熟フェーズに入る中、プラットフォーム事業者がどのような役割を果たすべきかが議論される見通しです。
参考: プレスリリース:Shopee Japan、通販通信ECMO主催ウェビナー「2026年 越境ECの『健全化と発展』」に登壇(PR TIMES)(毎日新聞)
分析・見解
越境EC市場は2020年代前半の急拡大期を経て、2026年には「健全化」が最重要テーマとなる転換点を迎えています。このウェビナーのテーマ設定そのものが、業界全体の成熟度を物語っています。
まず注目すべきは、東南アジア発のShopeeが日本の業界メディア主催ウェビナーに登壇する意義です。かつて越境ECは、日本企業が中国や米国のプラットフォームを活用する一方向の流れでした。しかし現在は、東南アジア6億人市場を背景に持つ新興プラットフォームが日本市場での存在感を高めています。これは越境ECが真の意味で多極化している証左です。
「健全化」には複数の課題が含まれています。第一に偽造品・模倣品の流通問題。国境を越えた取引では、真贋確認や知的財産権保護が困難です。第二に関税・税制のコンプライアンス。各国で異なる輸入規制や課税ルールの理解不足により、税関で商品が止まるケースが後を絶ちません。第三に消費者保護。言語・文化・法制度の壁を越えた取引では、返品・交換・サポート品質の確保が課題です。
Shopeeが本拠地とする東南アジアでは、発展段階の異なる国々をまたいだビジネス展開により、多様な規制環境への適応ノウハウが蓄積されています。このナレッジは、日本企業が新興市場へ越境展開する際の貴重な参考事例となり得ます。
また、専門メディアがコンプライアンスをテーマに拠えた点も示唆的です。「いかに早く届けるか」から「いかに安全で信頼できる取引を提供するか」へ、価値基準がシフトしているのです。
ビジネスへの影響
越境EC参入を検討する企業にとって、このウェビナーが示唆するのは「プラットフォーム選定基準の変化」です。従来は流通額や会員数といった規模指標が重視されていましたが、今後は「規制対応力」「品質管理体制」「消費者保護の仕組み」といった信頼性指標が重要度を増します。
特に中小企業にとって、自社で各国の規制に対応するリソース確保は困難です。プラットフォーム側が税関申告サポート、真贋判定システム、多言語カスタマーサポートなどの機能を提供しているかが、参入成功の鍵を握ります。Shopeeのような新興プラットフォームは、後発ゆえにこうした機能を最初から組み込んで設計しているケースが多く、既存大手との差別化ポイントとなっています。
また、既に越境ECを展開している企業は、現在利用中のプラットフォームのコンプライアンス対応状況を再点検する必要があります。規制強化は世界的なトレンドであり、「知らなかった」では済まされない局面が増えています。プラットフォーム側が提供する健全化ツールを積極活用し、リスク管理を強化することが求められます。