台湾EC進出は小さく始める時代へ、三社共催セミナーの狙い

台湾EC進出は小さく始める時代へ、三社共催セミナーの狙い

ニュースの概要

越境EC支援のジグザグが、W2、FinTと共同で、日本のEC事業者向けオンラインセミナーを11月27日に開くと発表した。テーマは台湾市場での事業の立ち上げと、継続的な販売につなげる成長の道筋である。越境EC、台湾の現地EC、SNSマーケティングという性格の異なる三つの専門企業が登壇し、販売開始、市場の検証、顧客の獲得、事業の拡大までを順番に解説する。最初から大きな投資をして拠点を構えるのではなく、段階を踏んで進める進出の考え方を示す内容で、台湾を検討している日本企業に実務の手順を伝える狙いがある。参加は無料である。

引用元: ジグザグ、台湾での越境EC・現地EC・SNS活用を解説する無料セミナーを開催(PR TIMES)

分析・見解

三社が組む背景に、台湾特有の事情がある

今回の特徴は、一社ではなく、役割の異なる三社が並んで話す点にある。越境ECは日本から直接売る手法である。現地ECは台湾の販売サイトに出店する手法である。SNSは顧客との接点をつくる手法である。

これまで多くの事業者は、どれか一つだけを選んで始めてきた。しかし台湾の消費者は、SNSで商品を知り、現地の販売サイトで比べ、最後に日本の公式サイトで買う、といった動きをよくとる。入口と出口が別々になるため、一つの手段だけでは取りこぼしが出る。三社の共催は、この買い方の実態に合わせた形だと読める。

台湾が日本企業の最初の海外市場に向く理由

台湾は日本製品への好感度が高く、日本語のパッケージがそのまま信頼の目印になる場面も多い。人口は約2,300万人と中規模だが、スマートフォンの普及率が高く、ネット通販への抵抗感も小さい。物流面でも、日本から数日で届く便が整っている。

さらに、中国本土向けに比べて規制や検査の負担が軽い品目が多い。化粧品や食品でも、まず少量で反応を見るという進め方が取りやすい。つまり失敗したときの傷が浅い。海外展開の練習の場として、台湾が選ばれやすい理由はここにある。

段階的に進める設計が、失敗の確率を下げる

セミナーが掲げる流れは、販売開始、検証、顧客獲得、拡大の順である。この順番には意味がある。越境ECなら在庫を持たずに日本から発送できるため、最初の一歩の費用が小さい。そこで売れ筋と価格帯を確かめ、反応が良い商品だけを現地ECに回す。さらに売れ行きの出た商品に絞ってSNSの広告費を使う。

逆に、先に現地ECへ大量に在庫を送ると、売れ残りの処分や保管料が重くのしかかる。小さく試して、数字が出た部分にだけ資金を足す。これは新規事業の定石だが、海外では言語や商習慣の壁があり、守られにくい。そこを手順として示す価値は大きい。

見落とされやすい論点は、検証の物差しを先に決めること

独自の視点として強調したいのは、検証の基準を始める前に決めておく点である。たとえば三か月で何件売れたら現地ECに進むのか、広告費に対して何倍の売上なら続けるのかを、数字で書いておく。基準がないと、売れなかったときにも売れたときにも、判断が感情に流される。

実際、台湾向けに数か月試して撤退した事業者の多くは、商品が悪かったのではなく、何を見て続けるか決めていなかったと振り返ることが多い。セミナーを聞く際は、手法そのものよりも、どの段階で何を測るかという物差しを持ち帰る意識が役に立つ。

ビジネスへの影響

まず越境ECで需要を測り、投資は後から決める

台湾に関心のある事業者は、今期の予算で大きな契約を結ぶ必要はない。第一段階として、既存の日本向け商品の中から三から五点を選び、越境ECで販売を始める。中国語(繁体字)の商品ページと、台湾向けの送料表示を整えるだけでも、反応は大きく変わる。

三か月ほど続けると、どの商品が、どの価格で、どんな層に売れるかが見えてくる。この情報こそが、現地ECへ進むか、そのまま越境で続けるかを決める材料になる。投資判断は、その後でも遅くない。

社内の体制と数字の置き方を先に整える

実務で止まりやすいのは、問い合わせ対応と返品の扱いである。台湾の顧客は、チャットでの素早い返信を重視する傾向がある。そのため、担当者を一人決め、対応の時間帯と文面の型を用意しておくとよい。

数字については、売上だけでなく、客を一人獲得するのに要した費用、再購入の割合、返品率の三つを毎月見る。これを表にして、セミナーで得た手順と照らして進捗を確認すると、社内の説明もしやすい。外部の三社のような専門家を使う場合も、任せきりにせず、この三つの数字を共有する約束を最初に交わすことを勧める。

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